誰もが映画を見るならより良い空間・環境で見たい、と思うはずだ。だからこそ映画館まで足を運んだり、4Kディスプレイを購入したり、様々な工夫を講じる。映画や動画をより良い環境で観る方法として「ホームシアター」の構築が以前より挙げられる。

しかし、僕自身がそうであったようにホームシアターの構築って異常なほどハードルの高さを感じてしまう。防音室?サラウンドオーディオシステム?高いプロジェクター?等々。確かに本格的にホームシアターを構築しようとするとある程度の価格は必要になってしまう。防音室はまた別にして、プロジェクターは一定の品質を求めるのであればそれ相応に高かった。

だが、最近では多くのプロジェクターが登場し、世の中でよく聞く「コストパフォーマンス」に優れたモデルというものも増えてきており、以前よりも明らかに選択肢が増えている。これはユーザーによって異なるニーズをズレなく満たすことのできる製品が増えてきたという意味だ。

現在、ベンキューが8.3Mピクセルの真の4K解像度を持ち、CinematicColorとHDR-PROテクノロジーを採用することで「DCI-P3カバー率95%」を達成した本格的なプロジェクターでありながら、価格に優れている、所謂「コストパフォーマンス」に優れた最新プロジェクター「HT3550」を発表している。

今回、前回レビューした上位モデル「HT5550」と同じように「HT3550」についても提供していただいたので、Wonder-X的視点でこのプロジェクターについてレビューしていきたいと思う。

今回使用する「HT3550」はベンキュージャパンより提供していただきました。

「BenQ HT3550」の特徴について

「HT3550」ってどんな製品?

  • 8.3Mピクセルを実現した4K HDRプロジェクター
  • CinematicColorとHDR-PROテクノロジーを採用(DCI-P3カバー率約95%)
  • 近くでも大きく映せる強力な短焦点プロジェクター

 

「HT3550」は誰向けの製品?

  • 比較的安価に本格的なホームシアターを構築したい人
  • プロジェクターに30万!と聞くとブラウザ右上の×ボタンを押したくなる人

「BenQ HT3550」は2019年2月に発表され、当初4月に発売を予定していたが一度延期し、先日より発売されているベンキューの最新4K HDRプロジェクター。「HT3550」の最も魅力的なのはやはりコストパフォーマンス。比較的購入しやすい価格でありながら、CinematicColor技術の採用によって「DCI-P3カバー率95%」と高い色の再現性を備えている。

また、真の4K解像度を持ちながら4.2kgと軽量コンパクトな筐体も魅力的なポイントの1つだろう。

更に「HT3550」は近距離でも大きな映像を映すことのできる1.3倍光学ズームや縦型レンズシフト機能も備わっているため、6~8畳の一般的な部屋のサイズでも問題なく大画面での映像を楽しむことができる。

「BenQ HT3550」がサポートするポートやスペックについて

BenQの「HT3550」には様々なポートが用意されているが、主に使用するのは「HDMI」と「USB3.0」ではないだろうか。「HDMI」ポートは2つ搭載されており、どちらも「HDMI2.0」をサポートしている。

また、オーディオ用の出力端子も搭載されており、本格的なオーディオ機器を使用することも可能。上位モデルの「HT5550」にはプロジェクター本体にはスピーカーが搭載されていなかったが、この「HT3550」には内蔵スピーカーが搭載されているため、より様々な用途で使用することもできるだろう。また、意外と厚みのある音を鳴らしてくれるため、先々本格的なオーディオも組みたいけど、今は…。なんて人はとりあえず内蔵スピーカーを使用しておく、というのも1つの選択肢になるだろう。

想像よりも圧倒的に良い音を鳴らしてくれるのだが、やはり内蔵スピーカーという枠を出るほどではないため、日頃から品質の高い音に聞き慣れているのであれば物足りないかも知れない。とは言え、100インチのスクリーンに映された映像に負けないだけの厚みと迫力は持っていると断言できる。

用途とは外れるかもしれないが内蔵スピーカーを搭載しているプロジェクターは持ち運び時に機材が少なくて済むという利点もある。

 

「BenQ HT3550」のスペック
投写システム DLP
実行解像度 4K UHD(3840×2160)
輝度(ANSIルーメン) 2000 ルーメン
コントラスト比(FOFO) 30,000:1
表示色 30bit(10億7000万色)
色域 DCI-P3 カバー率95%
色相環セグメント 6セグメント(RGBRGB)
アスペクト比 ネイティブ16:9(変更可能)
投射距離比 1.13- 1.47(100インチ@2.5m)
レンズシフト 垂直方向 10%
台形補正 垂直方向
内蔵スピーカー あり
寸法 380×127×263mm
重さ 4.2kg

 

[source HT3550/BenQ]

「BenQ HT3550」のデザインについて

「HT3550」のデザインは「HT5550」程大きくなく、非常にコンパクトな仕上がり。スポーツ観戦などに最適化されたプロジェクター「TK800」の筐体と比較して若干大きいものの重さは4.2kgと全く同じ。このコンパクトな筐体から優れた映像を移してくれるというのは本当に技術の進歩を感じる。

さて、デザインについてだが大きさだけでなく基本的なデザインは「TK800」とほぼ共通と言ってよいだろう。「TK800」のテーマカラーは「スカイブルー」のようなイメージだったが「HT3550」は暗めのゴールド?グレー?のような感じ。ゴールドだが嫌らしさは全く無く非常に落ち着いており僕好み。

また、ただ格好良いだけでなく、小さな筐体と4.2kgと非常に軽量な作りになっているため、プロジェクター本体を置く場所に困るという場面にもなりづらく、男性・女性問わず簡単に持ち運んだり設置したりできるだろう。「HT5550」は6.5kgと「HT3550」と比較するとやや重たく感じる。(それでもプロジェクターとしては軽量タイプ)

「BenQ HT3550」の使い方や設置、及び調整方法

今まで様々なプロジェクターを設置・体験してきたが「BenQ HT3550」の使い方も基本的に同じと考えて良い。一応「HT3550」の使い方は以下。

  1. 接続する機器とプロジェクターを接続する
  2. 電源ケーブルを接続し、「HT5550」の電源をオン
  3. 電源のオンが確認できたら待つ

電源の付け方も他のプロジェクターと恐らく同じ。少なくともBenQ製のプロジェクターであれば同じだ。電源ケーブル接続後、本体電源ボタン若しくはリモコンで電源をつけることができる。

電源が無事に付き、映像が映し出されたらプロジェクター特有の準備としてピントと投影地を正しく調整して上げる必要がある。これも簡単。いい加減な言い方をするなら、本体に付いてるダイヤルぐるぐるしてるとピントが合う。

上記左側の画像、上から順に「FOCUS」、「ZOOM」、「LENS SHIFT」とあるが、基本的に使用するのは上2つ。「FOCUS」が映像のピントをあわせるためのダイヤルだ。2つ目の「ZOOM」はプロジェクター本体を動かさずに最大1.3倍まで映像を大きく映すことのできるズーム調整用。3つ目の「LENS SHIFT」はプロジェクター本体を動かさずに垂直方向に映す位置を調整することのできる機能。スクリーンとプロジェクターの距離がある程度確保されていればこの機能は便利かもしれないが、比較的近めであればあまり効果は感じられないかも知れない。

プロジェクター「HT3550」の投影位置を調整する方法について

さて、プロジェクターの使い方の次は調整方法。これまで様々なプロジェクターを使用してきたが「HT3550」にはこれまで見てきたものとまた違う工夫が施されており、調整が簡単に行えるようになっている。

まず、「HT3550」には本体前側と後側にそれぞれ高さ・角度調整用の足が取り付けられている。後ろ側に取り付けられている足は両側に1つずつ着けられており、これは以下のようにクルクルと回すことで簡単に調整することができる。

そしてBenQの調整をより簡単に行えるように工夫しているなと感じたのは本体前側に取り付けられている方の足。前側の足は中央に1つ取り付けられている。

基本的に後ろと同じようにクルクルと回すことで微調整を行うのだが、環境によってはこの足を大きく引き出して使用することがあるだろう。そういう場合、後ろ側と同じ足だと何度もプロジェクター本体を持ち上げた状態でクルクルと回し続けなければならない。

上記画像を見て気づいた方もいるだろう。「HT3550」の前足には足を一気に調整できるように爪が用意されている。この爪を押しながら足を引っ張ったり押し込んだりすることで、何度もクルクルと回し続ける必要がなくなっている。細かな点だが、持ち上げながら調整のためにクルクル回し続けるのは意外と面倒であるため、とても助かるポイント。

「BenQ HT3550」を実際に使用してみての感想

 

これらは全て「HT3550」で映した映像を撮影したものだ。どう感じるだろうか。上位モデルの「HT5550」のレビュー記事を公開した時にも伝えたが、僕はプロジェクター等に関して特別な知見を持ち合わせているわけではない。

本来、上位モデル「HT5550」を立てて「HT3550」のレビューをするべきなのだろう。しかし、知識がないのに下手なことは言えない。そのため素直に伝えたい。

「HT3550」のクオリティも普通に凄い。

確かに「HT5550」を見た時に感じた「おぉ…!」という感じは「HT3550」では若干薄いかも知れない。しかし、10万円以上価格に差があるのにもかかわらず、やはり「おお、綺麗だなあ」と思わせるクオリティには驚かされた。

ベンキューが伝えているように緑と赤の表現はやはり非常に豊か。

また、「HT5550」には搭載されていない内蔵スピーカーが「HT3550」には搭載されている。内蔵スピーカーと聞くとお粗末なクオリテイをイメージしてしまうが、「HT3550」のスピーカーは想像を超えてくるクオリテイは持っている。

「TK800」のレビューの時にも内蔵スピーカーのクオリテイが凄いという話をさせてもらった。「TK800」には5Wのスピーカーが搭載されている。それに対して「HT3550」には5Wのスピーカーが2つ搭載されている。そのため、「TK800」よりも明らかに良い音が鳴っている。

元々の設定でやや大きめな音になっている「HT3550」のスピーカーはウーファー使用時ほどのドンドン・ズンズン感はないものの低音にも厚みがある。

様々なモードが用意されている「HT3550」のスピーカー設定だが、基本的にシネマモードで良いと感じた。

 

とは言え、やはり「HT3550」にも気になる点はあった。

「HT3550」ファンの音が結構うるさい。4K解像度を持つプロジェクターは経験上どれもある程度の音はなるため仕方がない部分ではある。スピーカーから音が鳴っている際は特にストレスではないが、それなりに静かな場面だと「おお、鳴ってんなあ!」と感じる。勿論、発熱もそこそこある。

僕個人の意見としては、優れた映像品質のおかげでこの不満点を受け入れてもお釣りが来ると思わせるだけのコストパフォーマンスが「HT3550」にはあると思う。そういう意味で僕には「HT5550」よりもより安価な「HT3550」の方が向いているかも知れない。

まとめ

「HT3550」の魅力は伝わっただろうか。専門的な知識は他サイトに丸投げして、今回Wonder-Xでは実際に使ってみる時に気になるポイントや魅力を伝えることに注力してみた。

ベンキューの最新プロジェクター「HT3550」と「HT5550」どちらも素晴らしいプロジェクターであることは最早言うまでもない。一方で、ホームシアター初心者の僕としては「HT5550」は魅力的だけどやはり価格が気になってしまう。

その点、「HT3550」は上位モデルと比べて安価であり、パフォーマンスも申し分ない。

「HT5550」は本格的に映画や映像を楽しむ為にホームシアターを構築しようと考えている人向けの超本格エントリーモデルと位置付けたが、「HT3550」はそれより一歩引いたポジションのプロジェクターだと感じる。あくまでも本格的な映像品質を保ちつつエントリーユーザーにも優しい価格設定。

自分がどの程度映像というものに拘るのかを比べながら「HT3550」と「HT5550」の2つを比べてみると良いのではないだろうか。

上にも書いたが僕なら恐らく「HT3550」を選んでしまうだろう。それ程までに「HT3550」は「コストパフォーマンスに優れている」という表現がふさわしいプロジェクターだ。

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